本研究は、ニューラルネットワークによる逆モデルの学習アルゴリズムを用いて、自律移動ロボットの協調制御を行なうとともに、ロボットの逆モデリングに適した学習アルゴリズムを作成することを目的としている。 未知の環境を動き回る自律移動ロボットの逆モデリングを行なう際には、ロボットと環境のインタラクションを考慮しなければならない。そのため、作成されるべき逆モデルは、ロボットの物理量とともに、それが動き回る環境も含んだものでなければならない。このためには、従来の逆モデルの学習アルゴリズムに何らかの改良を加える必要がある。この研究では、逆モデルの学習アルゴリズムであるフィードバック誤差学習を改良した、自律移動ロボットのための新しい学習アルゴリズムを提案した。従来のフィードバック誤差学習は、フィードバックコントローラを利用するため、移動ロボットの各時点での目標出力値がすべて既知である必要があった。しかしながら、未知の環境を動き回る移動ロボットは、必ずしもこの要求を満たしていない。提案したアルゴリズムでは、対象とする自律移動ロボットの順モデルを利用することによって、フィードバックコントローラに与える目標出力を推定する。ここで利用される順モデルもニューラルネットワークを利用して容易に作成することができる。また、順モデルに用いて目標出力の推定を行なうことにより、従来のままでは、困難であったフィードバック誤差学習による自律移動ロボットの逆モデリングが可能になることを示した。さらに、この学習アルゴリズムは複数のロボットの制御に容易に拡張できる。
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