研究概要 |
平成9年度において実施した検討の概略、ならびに、それぞれの各検討によって明らかとなった事項は、概ね以下の通りである。 (1)ひび割れを有する鉄筋コンクリート部材を準備し、これを各種の電解質水溶液に浸漬して、通電を施し、コンクリート表面ならびに、ひび割れ部分における、化学物質の析出状況を把握した。この結果、ひび割れ部ならびに、コンクリート表面部分での化学物質の析出状況は、通電時の電流密度、通電期間、電解質水溶液の種類等によって異なり、ひび割れ部分においては、内部から析出する場合と、表面部を覆うように析出する場合があることがわかった。 (2)用いた電解質水溶液と、析出物質との関係についての検討を行った。その結果、Mg^<2+>,Zn^<2+>,Ca^<2+>などの陽イオンを有する電解質の場合には、電着に伴い酸化物あるいは水酸化物が析出するが、Ag^+などの金属の析出は、認められなかった。また、今後は、通電時の溶液のpHをモニタリングする必要があることが判明した。
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