橋梁の維持管理を行う上で最も重要なのが、橋梁の劣化状況や損傷状況を把握する調査・点検であるが、専門技術者の人数不足などから、頻繁に精度良く調査・点検を行うことが困難になりつつある。本研究は、熟練を要さず、調査・点検作業の軽減化・迅速化がはかれ、ばらつきの少ない正確な点検データが得られる「調査・点検支援システム」の構築と調査・点検記録のデータベースの作成を行ったものである。今年度は、携帯端末による橋梁の調査・点検支援システムを構築するため、(1)国内外の橋梁の調査・点検項目、頻度等の調査・点検に関する詳細な調査を行い、点検者の入力項目と点検者への指示項目、出力項目の整理を行った。(2)調査・点検支援システムのプロトタイプをデスクトップパソコン上で構築した。また、時系列ネットワークGISデータベースの構築を行うため、(1)入力項目を時間、場所、ネットワークのカテゴリに分類し、それぞれのリレーションを整理した。(2)リレーショナル型データベースのプロトタイプを作成した。 なお、これらのデータベースは、橋梁台帳データベース、橋梁診断エキスパートシステムとのリンクが行われており、調査・点検結果をもとに橋梁診断が可能である。来年度は、デスクトップパソコン上で構築したプロトタイプを携帯情報端末に移植するとともに、データベースに関してはGISとの融合を図る予定である。
|