本研究は、微地形の細部まで表現できる地形データ作成システムを用いた並列計算により、地形風の数値流体解析を実用レベルで行う数値シミュレータの開発を行うものである。 具体的には、 1)三次元地形モデリングシステムの構築 2)三次元流れの支配方程式に対する並列計算システムの構築 3)以上の二つのシステムの統合化を行う。 本年度は、上記の1)および2)について研究を行った。 三次元地形モデリングシステムの構築では、水平メッシュサイズが5-10m程の微細メッシュを作成するために、大型のスキャナーにより直接地形図(国土地理院の発行している地形図、あるいは土木構造物の設計や施工などを目的に実地測量データを補足して作成される縮尺1/500や1/2000の地形図)を入力して、そのデータを基にして計算幾何学およびCAD技術を用いて地形モデルを作成するシステムを構築した。なお、要素分割法としては、デラウニ-法に基づく方法を採用した。 一方、三次元の並列計算システムの構築については、複雑形状に対する流れの計算が可能となるよう非構造格子を前提としてシステムの構築を行った。並列計算を効率的に行うためには、計算負荷を可能なかぎり均等化することが必要不可欠となるが、この点を自動的に実現する領域分割法の開発を行った。本手法の有効性を検討するために、いくつかの大規模な地形風解析に適用したところ、非常に高い並列化効率が得られることが明らかとなった。
|