研究概要 |
粘土の圧密の進行過程とそれに伴う強度増加特性を把握するために,圧密過程における軟弱粘土地盤内の任意の分割層(粘土要素)の応力状態を室内土質試験において再現することのできる“間隙水圧制御装置"を開発・作製した.開発した試験装置の性能検定を行うとともに,低塑性のカオリン粘土を用いた圧密時間の異なる一連の圧密非排水三軸圧縮試験を実施した.得られた主な結論は以下のとおりである. (1) 考案した間隙水圧制御装置は,供試体周面からの排水経路中に粘土供試体と同程度の透水係数を有するセラミックディスクを挿入したものであり,供試体の中心(非排水面)と周面の間隙水圧の差(動水勾配)を小さく制御するので,特殊な方法を用いることなく通常の試験方法に準じて一次圧密過程における粘土要素の三軸試験を実施できる. (2) 一次圧密過程における粘土の間隙比と有効応力の関係は正規圧密線から上方に逸脱した経路を辿る. (3) 一次密過程における粘土の破壊線および有効応力表示の強度定数は圧密応力の大きさや圧密時間に無関係に一定である.また,圧密打切り時の残留間隙水圧は有効応力経路に影響を及ぼさない. (4) 一次圧密過程における粘土の非排水強度の増加は圧密度よりも遅れて発現し,強度増加率は,一次圧密過程において一定ではなく,圧密時間に依存して異なる. (5) 一次圧密過程における粘土の間隙比(e)と非排水強度(Cu)の関係には,圧密応力の大きさや圧密時間に無関係にe-log Cuの直線関係が成り立ち,この直線の傾きは圧縮指数に等しい.
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