泥岩砕石を用いて築造された盛土の変形、安定については、砕石集合体としての挙動の把握が重要である。平成9年度は、砕石の集合体としての泥岩砕石供試体を作製し、砕石自体の状態の違いに着目して、水浸時の圧縮特性とマクロ的なせん断力を与えたせん断特性を調べた。本年度は系統的な実験を中心に行っており。圧縮特性については、一次元圧縮試験、せん断特性については、三軸庄縮試験を実施した。なお、砕石自体の状態の違いとは(1)砕石試料の粒度分布の違い、(2)砕石の飽和度の違い、の2つの項目である。以下、本研究で得られた研究成果を述べる。 (1)一次元圧縮試験において、砕石の粒度分布の範囲が広い(良配合の)方が、圧縮沈下が即時に起こり、その後の「二次庄密」的な沈下が起こらない。逆に、貧配合の、同一粒径による供試体の場合、沈下が時間とともにゆっくりと進行し、自然堆積粘土の「二次庄密」のような挙動を示す。上記試験はゆるく詰めた供試体についてであるが、密に詰めた場合は、沈下は起こらない。(2)非排水三軸圧縮試験において、「二重構造」を有するゆる詰め同一粒径の供試体は、「構造を持った土」と同じように低い応力レベルでの軟化を示すが、粒度を良くした供試体は、軟化を起こさず、均質な練り返し粘土と同様の挙軌を示す。(3)排水三軸圧縮試験で、同一粒径の供試体は、強度の発現までに大変形が起こるが、粒度を良くした供試体は、強度の発現が早く、その大きさも比較的大きい。(4)圧縮特性、せん断特性ともに、蝕和度の違いに注目すると、砕石が不飽和状態の場合は、飽和状態に比べて、短時間でスレ-キングを起こす。
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