近年の廃棄物による地盤環境災害は深刻であり、その一方で建設資材として使用しうる良質土砂をはじめとする資源は枯渇の傾向にあることから、廃棄物を適正に処理し、できれば建設材料としてこれを大量に積極的に使用することにより地盤環境を保全していくことが求められている。本研究は、建設分野の中でも大量の材料を使用する地盤工学分野へ廃棄物を有効利用するためのシステムの構築の考え方、ならびに廃棄物の地盤工学的利用に伴う環境影響制御の考え方を示すことを目的としており、平成9年度の研究成果は下記の通りである。 1.建設汚泥の有効利用を目的とした脱水固化連続システム 建設汚泥の脱水固化特性を実験により検討し、脱水と固化のそれぞれの処理エネルギーのバランスから処理システム最適化の考え方の提案を行った。さらに、固化処理について、汚泥の初期条件(含水比など)、混合条件(混合時間など)、固化材の種類(早強性固化材など)が試験結果に及ぼす影響について検討し、汚泥処理における試験方法について議論した。 2.重金属を含有した安定処理土の溶出特性 汚染土の有効利用を想定して、重金属を含んだ泥土をセメント固化し、その溶出特性を実験的に検討した。さらに、実験結果に基づき、実際に重金属含有土を安定処理して地盤材料として利用した際の地盤環境影響評価の手法を提案し、既存の評価手法の問題点を指摘するとともに有効利用の可能性、有効利用のための留意点を示した。
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