本年度は、まず繰返し三軸試験装置を用いて、再液状化と再圧縮特性に関する実験的研究を(1)等方圧密状態と(2)初期せん断を受けた状態の2つ点に着目して行い、再液状化が生じる条件の検討と再圧縮量と履歴時の過剰間隙水およびせん断ひずみとの関係を明らかにした。 得られた知見は次の通りである (1)履歴後の繰返しせん断特性は。履歴時のひずみの発生量に大きく依存し、初期液状化時の両振幅軸ひずみDAが6%を超えた砂地盤の液状化強度は、履歴を受けていない地盤強度より小さくなることが明らかになった。 (2)初期せん断力を受けた地盤の履歴後の液状化強度は、履歴を受けていない地盤強度に比べ、強くなる傾向を示した。しかし、繰返し履歴時の最大圧縮ひずみの発生量が約3%を越えると液状化強度が減少していくことが明らかになった。 (3)繰返し履歴時における両振幅軸ひずみと体積ひずみの間には、一義的な関係があり、沈下予測は履歴時の両振幅軸ひずみにより評価することが可能である。 また、中空ねじりせん断試験装置を用い、再液状化の検討における基礎データにするため砂の液状化特性に及ぼす初期構造異方性の影響について(1)供試体の堆積面の有無、(2)単粒子の形状に着目した実験を行い、次のような知見が得られた。 (1)繰返し載荷時の砂の強度・変形特性は、初期載荷時の主応力方向と土粒子の定方向配列に起因する堆積面の形成による初期構造異方性に支配され、その挙動が大きく異なる。一方、棒突き法により初期構造異方性を壊した供試体では、繰返しせん断の強度・変形特性に異方性の影響は、見られないことが明らかになった。 (2)単粒子の形状による初期構造異方性が繰返しせん断挙動に及ぼす影響について、ガラスビーズを用いた供試体を用いて検討した。その結果、単粒子がひとたび集合体を形成すると粒子の形状に関係なく、繰返しせん断特性に初期構造異方性の影響が現れることが明らかになった。 さらに、Biotタイプの圧密方程式を用いた動的連成解析プログラムを用い、波浪荷重を受ける海底地盤の液状化現象シュミレートした。その結果、変動間隙水圧による海底地盤の液状化現象を検証することができた。今後、地盤に弾塑性をもたせ、繰返しせん断による過剰間隙水圧の蓄積による液状化現象の検証を行う予定である。
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