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1997 年度 実績報告書

複数の地表面被覆からなる領域の地表面熱収支の集約化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 09750587
研究機関東京大学

研究代表者

仲江川 敏之  東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20282600)

キーワード集約化 / 地表面熱収支 / 領域平均フラックス / 土壌浸透 / Philip式 / 不均一性
研究概要

本年度は第一年度であり、大気-陸面結合モデルに地表面フラックスの集約化手法を組み込むための理論的検討を行ない、地表面フラックスと土壌浸透それぞれについて、詳細な検討を行なった。
まず、地表面フラックスについては、線形化モデルから領域平均地表面フラックス算定法と集約化規範を導出し、理論的な検討を加えたところ、以下のような結果が得られた。(i)導出されたモーメント法による算定式はパラメータ平均法によって算定されるフラックスに、地表面パラメータの分散並びにクロスモーメント項を加えたものである。(ii)顕熱と潜熱に対する集約化規範を比較すると、バルク係数だけ、或は蒸発効率だけが分布している場合、通常、両方とも潜熱に対する規範の方が厳い。(iii)複数のパラメータが分布している場合のモーメント法による領域平均フラックスの算定式を導き、顕熱、潜熱に対する集約化規範を導いた。
この導出した集約化規範を基に不均一な領域における地表面熱フラックスの集約化について検討を行なったところ、以下の知見が得られた。
(i)同一土地被覆内のバルク係数分布はパラメータ平均法で集約化が可能である。(ii)蒸発効率については分布形状次第ではパラメータ平均法による集約化が効率良く行なうことができない場合もあったが、モーメント法を用いれば充分な精度で集約化を行なえる。(iii)平均パラメータ法は一様な領域で成り立つ一般的な式をそのまま使うのに対して、本論文で提案したモーメント法ではモーメント項を計算しなければならないのが難点であるが、フラックスは精度良く算定される点では非常に優れており、モーメント法は地表面熱収支の有効な集約化手法である。
また、降雨の土壌への浸透現象の集約化について浸透方程式の特殊解であるPhilip式を用いたところ、以下の結果が得られた。
(i)実際に測定された同一土壌における土壌パラメータのばらつきと集約化規範を比較したところ,集約化誤差の大小はあるものの,パラメータ平均法,無限次のモーメント法を用いれば集約化できることが分かった。
(ii)導出した規範はいずれも浸透集約化スケールに関する不等式として表されているが,変動係数に対する不等式としても表すことができる.ここでは扱わなかった複数の土壌から構成される領域での集約化ではクラスター分析を利用でき,変動係数に対する不等式は非類似度として用いることができる.
以上、本年度の研究から、数値モデルへ導入するための基礎が確立された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 仲江川・沖・虫明: "Philip式による領域平均算定式と集約化規範の導出" 水工学論文集. 42(印刷中). (1998)

  • [文献書誌] 仲江川・沖・虫明: "線形化モデルによる地表面熱収支の集約化 (I)領域平均地表面フラックスの算定式と集約化規範" 水文・水資源学会誌. 11.5(印刷中). (1998)

  • [文献書誌] 仲江川・沖・虫明: "線形化モデルによる地表面熱収支の集約化 (II)不均一な領域における地表面熱フラックスの集約化" 水文・水資源学会誌. 11.5(印刷中). (1998)

  • [文献書誌] 仲江川・沖・虫明: "土壌水分分布の領域熱収支に与える影響評価法" 1997年気象学会春期大会. 71. 193 (1997)

  • [文献書誌] 仲江川・沖・虫明: "Philip式に基づく浸透フラックスの集約化に関する基礎的検討" 土木学会年次学術講演会概要集. 52. 362-363 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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