波浪作用下での海浜の侵食あるいは堆積現象を制御するために、均一粒径の豊浦標準砂を用いて、自然に成形した砂浜模型、バイブレーターを30分用いて締め固めた砂浜模型、また、50分用いて非常に締め固めた砂浜模型の3種類の砂浜に、侵食性と堆積性の波を2時間ずつ作用させる2次元海浜変形実験を行った。波浪作用前後に、地形ならびに締まり度の空間分布を調べた。実験データに基づき、静水時汀線背後の侵食量は、締まり度を高めた場合に1/3程度に低減され、また、沖向き漂砂量の絶対値も約2割ほど低減されることが分かった。堆積性の波作用時には、堆積地形であるバームの規模が締まり度番高めるほど減少するのではないかと考えられたが、実験によればその形成位置ならびに高さにも殆ど違いが見られず、締まり度を高めることで堆積量が低減される負の効果が小さいことが分かった。加えて、6ケースの実験より締まり度から空隙率を求める関係式を得、これより求まる空間的な空隙率λ(x)を用いて、制度の良い岸沖漂砂量の推定を行った。これらの結果は、内田・西・佐藤(1999)「締まり度による海浜変形制御に関する考察」(印刷中)に示されている。また、自然の種々の海岸地形での締まり度の特性については、Nishi et al. (1999)「Compaction of beaches and dunes」 (印刷中)で述べられている。さらに、人工構造物による海浜侵食が生じている海岸での締まり度特性、また、異常波浪の来襲により侵食の生じている自然海浜上での締まり度特性を調べるための基礎的研究を今後行うために、まず、これらの海岸の漂砂・侵食特性などを明らかにした。これらの結果は、西等(1998)、西等(1998)、Nishi et al.(1999)(印刷中)に述べられている。
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