研究概要 |
本年度に購入を行った実験水路(長さ4m,幅15cm)により、ワンド内の水面振動、およびワンド・主流間の物質交換現象について、詳細な実験を実施した。ワンド形状は長方形とし、河川の片岸に1個のワンドが存在する場合を想定し、水理パラメータ(特にフルード数)を種々変化させて実験を行った。この結果をもとに、水面振動とフルード数との関連性を明らかにするとともに、フルード数が大きい場合(概ね0.3以上の場合)には水面振動と物質交換速度が強い相関をもつこと、フルード数がある程度小さくなるとワンド内の定常循環流が交換現象を支配する点などを指摘した。また、フルード数とワンド内の水面振動の共鳴メカニズムを解明するため、界面上の大規模渦の進行を考慮した簡易モデルを提案し、このモデルによりフルード数と水面振動の関係をほぼ説明できることを示した。 一方、洪水時等でワンド内の水深が大きくなると、ワンド周辺の流れにおいて三次元構造が卓越し、平面二次元的な数値解析が適用できなくなる。この点を考慮して、ワンド開口部の大規模周期渦を再現できる非定常三次元数値解析モデルについて検討を実施した。乱流のモデル化においては、計算精度と計算機負荷のバランスのとれたk-εモデルを採用した。特に、断面内の二次流を再現するために、構成則に二次の非線形項を取り入れ、かつ、非定常な渦運動を捉えるために、渦動粘性係数にストレイン・パラメータ(S)及びローテイション・パラメータ(Ω)の効果を導入したモデルを構築した。数値解析結果と実験結果を比較することにより、非線形項にかかる係数、および渦動粘性係数の関数形(SとΩの関数とした)の同定を実施した。本解析モデルにより、ワンド界面の三次元大規模渦構造を定性的に再現できることを確認した。
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