本研究は、(1)火災延焼シミュレーション・システムの入力系システムの整備・開発、(2)オープンスペース・緑地等の延焼阻害要因を組み入れたシミュレーション・システムの開発、(3)広域市街地を対象とした地震火災危険分析システムの開発、(4)適用事例による既開発システムの操作性の評価、の4ステップに大別できる。 まず、(1)については、システムの入力系となるメッシュ・マップデータ採取をピクセルデータを用いて自動的に採取・識別するシステムを開発した。この結果、従来、手作業でデータ入力を行っていたメッシュ・マップを効率的かつ高精度で処理することができるようになった。(2)については、オープンスペース・緑地の延焼阻止効果の特性分析を行い、既存システムに延焼低減効果モデルを組み込んだ。この結果、オープンスペース・緑地の防火効果をシステムに反映することができた。(3)については、地震規模・地盤と倒壊建物による出火確立の算定モデルを組み込み、地震規模と木造建物密集度を考慮した出火点の発生モデルをシステム化した。そして、緑地、オープンスペースによる具体的な都市の防火区画化計画支援システムを構成した。(4)については、金沢市を事例に適用研究を行った結果、構成したシステムを用いて地震火災危険性を視覚的に提示可能であること、開発した防災区画化計画支援システムは操作性に優れていることを示すことができた。そして、幾つかの防災区画化計画代替案を提示し、金沢市の地震火災の被害は、最大で40%以上低減することを明らかにした。
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