研究概要 |
本研究では都市廃棄物最終処分場の延命化に最も有効となる手法を定量的に評価することを主たる目的としている。本年度は、都市廃棄物最終処分場の延命化シナリオ構築に必要な基礎的な調査及び延命化シナリオの検討を行った。 (1)最終処分場での基礎的調査 中規模自治体の最終処分場において、2週間ごとに埋立作業現場でのビデオあるいはディジタルカメラによる画像データ観測を行い,また同時に測量作業を行った。得られた画像データ及び測量データを補助金に購入したパーソナルコンピュータに転送し、画像解折ソフトウェア上で埋立容量計算のための解折作業を行った。これにより、簡便な計測作業によりおおよその埋立容積を推定することが可能となった。また、処分場への埋立廃棄物搬入重量の統計データを自治体より提供を受け、廃棄物の埋立密度を文献調査により決定し、埋立容積を推定した。このようにして得られた埋立容積と画像データから推定した埋立容積を比較した結果、ほぼ両者は一致し、先の画像データによる解折手法が妥当であったと確認できた。 (2)延命化基本シナリオ構築 調査対象自治体によるごみ減量政策による最終処分場の延命化への効果をパーソナルコンピュータ上で検討した。まず、仮想のケースとして、包装リサイクル法の実施による不燃ごみの減量化及び直接埋立処分されている事業系一般廃棄物中の可燃ごみの減量化による埋立地延命化への効果を検討した。その結果、自治体が最終処分場の設置当初に想定していた埋立可能年数が約1.5倍に延長されうることがわかった。次に、自治体が現時点で策定しているリサイクルによる家庭系・事業系からの排出抑制及び新規焼却処理場導入による直接埋立廃棄物量の減量実施による埋立地延命化への効果を検討した。その結果、最終処分場の設置当初に想定していた埋立可能年数が約1.8倍になる効果が確認できた。この中ではリサイクルよりも可燃ごみ・粗大ごみの焼却による減量効果が大きく寄与していた。 来年度は調査対象自治体をさらに増やすことにより、上記のような埋立容量推定のための基礎データの取得と延命化シナリオの定量的な評価の精度を高め、他の考えうるシナリオも導入してパソコン上でのシミユレーションモデルとして実現し、延命化にもっとも効果的な政策検討するシステム構築を図る。
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