本研究では都市廃棄物最終処分場の延命化を図るための手法を定量的に評価することを目的としており、昨年度の研究と併せて下記のような結論を得るに至った。 (1) 最終処分場の埋立量変化の計算手法の開発 中規模の最終処分場を調査対象とした埋立量変化計算手法として、1)測量調査によるもの、2)埋立廃棄物の搬入データ及び見かけ密度を用いたもの、を想定して検討した。その結果、1)の手法によって推定した埋立量を基本値とすると、これと2)の手法によって推定した埋立量がほぼ一致し、1)のような時間とコストのかかる手法によらなくても、2)のような簡便な手法で埋立初期の埋立量変化が推定できることがわかった。さらに、圧密を考慮した見かけ密度を用いて埋立量の変化を将来に亘って計算できるようなパソコン上の表計算ソフトウェアを用いたシステムを構築した。 (2) 延命化シナリオ評価システム (1)で開発した評価システムを用い、調査対象とした最終処分場における埋立量の推定を行った。その結果、覆土として持ち込まれる土砂量が即日覆土及び中間覆土として使用すべき量よりきわめて多いこと、可燃ごみの搬入量が多いなどの問題点を指摘できた。また、昨年から開始された缶・びんの資源収集による不燃ごみ減量効果があることも確認できた。さらに、延命化シナリオとして、シナリオA〜平成14年度に導入予定の新焼却処理場の建設による可燃ごみ削減、シナリオB〜缶・びんの資源収集による不燃ごみ削減、シナリオc〜土砂の搬入抑制、という3つを想定し、埋立量の推移を圧密効果も考慮して予測した。その結果、Cが最も延命化効果が高く、次いでA、Bとなり、最大で埋立可能年数を当初計画17年から42年と約2倍近く延長できるという定量的な評価をすることが可能となった。 本研究で提案した手法により、埋立量の変化を定量的に把握・予測することによって、より効果的な埋立地の管理・運営が可能となることが期待できる。
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