研究概要 |
水質汚濁防止のために,小規模合併処理浄化槽などの設置が進められているが,水質・水量変動が大きな小規模の生活排水を対象としているため,その処理性能は安定しにくい。 また,その設計に使用されている標準汚水は一定のままで,使用実態に即していない。 本研究では,小規模合併処理浄化槽の設計・管理に求められる,小規模な生活排水からの各種汚濁負荷量を算出し,さらに排出特性を多変量解析等を用いて明らかにして,それらの排水を処理している合併処理浄化槽の機能評価を行なっている。 平成9年度では,戸建住宅団地排水を対象にして生活排水の特性を評価するとともに,アンケート調査によって生活様式と水使用状況の関係を検討した。 得られた成果をまとめると以下の通りである。 1)戸建住宅団地排水の汚濁負荷量は,BOD値を除けば従来の報告値の範囲内であった。 つぎに,戸建住宅団地排水水質の主成分分析結果では,第1主成分は生活排水中の有機汚濁負荷,第2主成分は洗剤負荷を示していた。 とくに,第2主成分は使用水量の大きい洗濯行動を表していた。 各主成分のscore値の時系列変化から,第2主成分の正のピークは第1主成分のそれより1〜2時間遅れており,生活排水特性が明らかになった。 2)排水調査とともに排出者の生活様式をアンケート調査で検討したところ,対象家族の平均家族数は3.7人であり,休日の方が在宅人口が多いために洗たく活動,入浴頻度が増えた。 それに伴って汚濁負荷量が増える傾向があった。
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