研究概要 |
本研究では,水質汚濁防止のために普及・整備が急がれている小規模合併処理浄化槽についての,その設計・管理に求められる,小規模な生活排水からの各種汚濁負荷量を算出し,さらに排出特性を多変量解析等を用いて明らかにして,それらの排水を処理している合併処理浄化槽の機能評価を行なっている。平成10年度では,主に家族人数4〜6人程度の戸建住宅排水を対象に,各種汚濁負荷量(BOD,窒素,リン,陰イオン界面活性剤など)等を算出し,さらに生活様式を考慮した排出特性をふまえ,合併処理浄化槽の処理機能を評価した。得られた成果をまとめると以下の通りである。 1. 戸建て住宅排水の汚濁負荷量は既往の知見と同程度であり,その負荷特性についても,平日と休日の汚濁負荷量を比べると,休日の方が平日に比べて1.0〜1.4倍高かった。一方,排水の排出特性は個々の生活様式によって異なり,農家よりもサラリーマン家庭,さらに家族人数の少ない家庭ほど短時間に多量の排水が排出された。またBODおよび陰イオン界面活性剤について時間平均負荷量に対する時間最大負荷量の比を求めたところ,両方とも休日よりも平日の比の方が大きかった。 2. 総負荷量に対する3時間最大負荷量の割合および総排水量に対する3時間最大排水量の割合と,処理水中の平均BOD,陰イオン界面活性剤濃度との関係を検討したところ,負荷量については関係がみられなかったが,排水量についてはその割合が大きくなるに従い,処理水中の平均濃度が上昇する傾向がみられ,処理機能に対する流量変動の影響が示唆された。
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