研究概要 |
廃棄物処分場中の有害物質として何が含まれるかについて、管理型処分場4カ所(うち、2カ所は、産業廃棄物中心)および安全型処分場2カ所について、浸出水の化学分析を行った。揮発性の物質については、ベンゼン、トルエン等に加え1,4-ジオキサンなどが検出された。不揮発性画分には、フタル酸エステル類をはじめ、多数の物質が検出されたが、ビスフェノールAなど、高濃度で検出されたものの中には、環境ホルモンとして疑われているものもあった。また、塩類、一般水質項目についても調査を行った。金属類については、おおむね、排水基準値にはおさまる濃度であったが、ホウ素、ニッケル、アンチモンなど、浸出水の処理過程で除去が十分でない元素もいくつか見られた。また、処分場ごと処分区画ごとの物質の検出濃度の差を調べたところ、有機系の微量汚染物質に関しては、オクタノール/水分配係数の大きな物質ほど、処分場に残りやすい傾向を示しており、長期間にわたって、浸出水中に検出される傾向があった。 活性炭吸着などの高度処理を経れば、有機系の微量汚染物質は、比較的浸出水処理施設で除去されていることが確認されたので、ナノろ過実験は、主に、金属に焦点を当てて行った。その結果、塩化物イオンなどを公称50%程度阻止する膜を用いた場合、浸出水は、塩濃度が濃い排水であるため荷電効果がきかず塩化物イオンの阻止率は、ほとんど0%であるが、このような条件であっても、クロム、鉛などの金属類は、90%以上阻止することがわかった。浸出水中の金属の存在形態については、溶存性かつ樹脂吸着をしない画分が大部分であったが、これらが、よくナノろ過膜で阻止される理由については、現在、研究を進めているところである。
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