床における長時間の立位姿勢による整理・心理反応の掲示変化を検証するため、立位疲労実験を行った。試料床として、コンクリート床、架構式木質床およびEVAクッション材の3種を用い、被験者に試料上で3時間の立位動作を行ってもらい、疲労感アンケート、体表面温度、下腿体積、踏み替え回数の4項目について測定した。 疲労感アンケートでは、特に疲労の訴えが顕著だった身体部位はいずれの被験者もふくらはぎの他腰と足底部であった。体表面温度については、時間経過とともに温度は全体的に低下する傾向がみられるが、被験者及び身体部位による体表面温度の低下傾向のばらつきが激しかった。下腿体積については、立位によって下腿体積は増加する傾向にある。また前半の増加傾向に比べると後半は鈍化することから、立位開始後の短い時間で生理反応に変化のピークが現れる。体表面温度と下腿体積の結果の原因としては、筋活動の低下による血流の停滞が考えられる。踏み替え回数は、30分後の踏み替え回数の掲示変化を検討した。回数には個人差があるが、立位時間の経過とともに回数は増加する傾向にあった。これは、疲労の増加とともに姿勢を保持することが困難となり繁盛に踏み替えるようになることがうかがえる。 しかし、どの測定項目についても、床による明確な差違はみられなかった。 以上により、疲労の増加にともなって変化する生理・心理パラメーターを特定できたものの、いずれの場合も床による差違を表示できるまでにいたらなかった。
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