本研究は、フレッシュ状態におけるセメント系粘塑性材料の流動性状をレオロジーに基づいて理論的・解析的に把握して各種の新材料・新工法に関する合理化・省力化の基本的な原理を明らかにすることを最終的な目的としている。ここでは、これらの解析プログラムをより汎用的な解析手法とするため、材料分離の構成モデルを検討するため材料分離試験を行った。さらに、この種の材料を連続体モデルに近似した場合の構成モデルの提案を行った。 平成10年度は、開発したフレッシュコンクリートのマトリックス流出分離試験装置を用いて、各種の実験を行った。この試験は、円筒容器の底面にメッシュを取りつけ、試料上面から荷重を掛けながら、マトリックスモルタルの流出量を試料上面の沈下量により測定するものである。マトリックス分離流出試験の結果から、分離の構成則として粘塑性モデルと仮定し、流出分離降伏値と流出分離塑性粘度の形で定量化を行った。 また、調合が分離流出抵抗に与える影響について実験的に明らかにした。その結果、単位水量の増加は流出分離降伏値、流出分離塑性粘度をともに減少させ、増粘剤の添加は両者を増加させることがわかった。 さらに、各種混和材で置換したコンクリートについても分離抵抗性を明らかにした。石英砂粉などでは普通セメントと同様に分離流出抵抗が評価できるが、シリカフュームでは流出分離抵抗が減少することがわかった。
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