研究概要 |
本研究は研究期間が2年で、平成9年度では交付申請書に記した項目に関する実験資料が得られた。以下に研究の概要を記す。 1.破壊実験概要 耐力低下が生じやすい腰壁・たれ壁・袖壁付き骨組において,耐力低下を抑制するために梁の曲げ降伏ヒンジ位置を固定する設計方法を明らかにすることを目的にし,鉄骨鉄筋コンクリート造袖壁付き骨組部分をモデル化した試験体を9体製作し加力破壊実験を行った。試験体については柱断面と梁断面は一定とし壁長さと壁厚およびコンクリート強度を変化させた。 2.研究成果 (1)袖壁付き柱とそれに取り付く梁からなるSRC造骨組部分に地震時の応力が生じる場合の弾塑性性状と破壊性状が明らかになった。 (2)コンクリート強度が高強度(600kg/cm^2)になると、普通強度(240kg/cm^2)のSRC骨組ものに較べ強度変形性能が全く異なることが明らかになった。高強度コンクリートを用いる場合の設計資料が得られた。 (3)袖壁付き梁が曲げ降伏しても、梁の変形の増加に伴い耐力低下が生じるタイプと耐力低下が生じずに耐力が安定するタイプに分かれることが確認され、耐力低下の評価方法とそれらのタイプの判別方法を明らかにした。これにより、腰壁・たれ壁・袖壁付き骨組において,耐力低下を抑制するために梁の曲げ降伏ヒンジ位置を固定する設計方法の手がかりが得られた。
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