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1997 年度 実績報告書

建物の動的熱特性の同定

研究課題

研究課題/領域番号 09750675
研究機関東京大学

研究代表者

永田 明寛  東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60228020)

キーワードM系列 / システム同定 / 建物熱特性 / 部分空間法 / ARXモデル
研究概要

建物の熱特性の同定手法の開発ならびに検証を行うことが本研究の目的である.本年度は初年度として,事務所建築を対象に,熱負荷シミュレーションプログラム(HASP/YH)を用いて,唯一の制御可能な入力である室の内部発熱のパターンとしてM系列発熱を与え,その際の室温変動から設定値がどの程度の精度で同定できるかについて基礎的な検討を行った.まず,建物モデルとしては,事務所ビル基準階の事務室を想定した単純なモデルを想定し,同定入力とする内部発熱,外気温,南鉛直面日射量,夜間放射のそれぞれの励振に対する室温のステップ応答を計算しておき,応答の正解値とした.次に,夏期を対象として東京の標準気象データ8/1から8/31を用いて熱負荷シミュレーションを行い,同定用ならびにバリデーション用の自然室温データを作成した.その際,室内にM系列の内部発熱を与えた.M系列の周期としては,31,63,127,255,511時間の5パターンを,サンプリング期間としては,5日,10日,20日、1月の4つを設定した.同定手法としては,ARXモデルと部分空間法の2種類の同定手法について検討した.その結果は以下のようになった.(1)同定入力として内部発熱だけを用いた場合でも内部発熱に対する応答は比較的精度良く求まるが,外気温,日射に関しては,夜間放射まで入れた4入力モデルまで考慮しないと,定常値にオフセットが生じる.(2)サンプリング期間として1月とればほぼ正解が得られるが,期間が短くなると誤差が大きくなる.M系列周期による傾向は見られなかった.(3)ARXモデルと部分空間法の同定精度に差は見られなかったが,同定モデルの構造に先見情報を必要としない部分空間法の方が利用しやすい.今後の課題としては,今年度は無視した雑音を考慮した場合の同定精度に関する検討と,住宅を想定した多数室の場合の同定方法の開発があげられる.

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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