研究は順調に終了した。最終年度は、都市気候モデルの完成を図るとともに、都市の空気環境のケーススタディを中心に研究を行った。温度成層が沿道市街地の汚染物拡散に及ぼす影響について風洞実験を行い、市街地における汚染物拡散の物理的構造をを把握するとともに、数値解析検証のためのデータベースを収集した。これにより本研究で用いた数値解析手法の有効性を確認した。更に、東京首都圏の都市の土地利用状況が変化した数種類ケースの解析を行い、都市化が都市気候に及ぼす影響並びに、汚染物質の拡散状況の変化について検討を行った。特に東京湾から足尾山地にいたるまでの海陸風が、市街地で発生した汚染物質をどのように輸送するかについて検討を行った。即ち、上記の都市化の発展による都市域の風系の変化が、汚染物輸送にもたらす効果について検討した。これらの実験と数値計算による検討結果は、汚染物拡散を合理的に制御する都市計画のための設計資料として利用されることが期待できる。
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