本研究は、建築物の室における換気効率の指標である空気齢の測定として、臭気を利用した方法を開発するものであり、臭気の発生源としてイ-スト、臭気濃度のセンサーとしてショウジョウバエを用いることを目的としている。現在までに研究の基礎的な部分について成果が得られた。 本年度の主な実績は、砂糖水をドライイ-ストで醗酵させた場合のガス発生量の測定に関する予備実験、学校教材用ショウジョウバエの飼育の実践と取り扱い方法の習得および問題点の把握、臭気に対するショウジョウバエの挙動観察装置と臭気発生装置の設計および作成、ショウジョウバエの画像をパソコンに取り込んだ場合の解析方法に関する基礎知識の収集と手法の検討である。 砂糖水をドライイ-ストで醗酵させた場合のガス発生量については、ガスの発生が砂糖水とイ-ストを混合してからの時間との関係を調べた。その結果、予備実験では3時間程度経過したあたりからガス発生量が増えた。このことから、臭気の発生には醗酵開始からの時間を考慮すべきことがわかった。ショウジョウバエの飼育については、インターネットでショウジョウバエを遺伝の研究に使用している研究所等から飼育方法の情報を集め、実践を行った。その結果、ショウジョウバエのウジを逃がさない方法や、ショウジョウバエの最終的な処分の方法などにさらなる工夫が必要であることがわかった。ショウジョウバエの挙動観察装置と臭気発生装置の設計については、低風速下での臭気の拡散によるショウジョウバエの挙動を観察できること、装置外の臭気の影響を軽減することを目的として工夫を行った。画像の解析については、ビデオカメラによる画像のパソコンへの取り込み方法の習得を行い、また、ショウジョウバエの挙動を解析するソフトの開発に向けて、プログラム言語の活用方法の習得および関連情報の収集を行っている。
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