研究概要 |
今年度においては,報知音の時間波形を2000Hzの純音に限定した。継続時間は0.05秒から8秒(7段階),音圧レベルを30dBから60dB(4段階)の範囲に設定した。まず,実験1では安静・椅座状態の被験者に報知音を聴取させ,その時の心電図を連続的に記録した。実験2では,椅座した被験者に数字を用いたパズルに回答するという課題を与えることで報知音に対し,あらかじめ注意が向いていない状態にした上で,実験1と同様の報知音を聴取させ,心電図を記録した。実験3では報知音の主観的な大きさ感についてME法を用いた評価を行った。これらの実験結果より,報知音が鳴動すると若干の時間遅れのあとに瞬時心拍数が低下するという傾向が認められた。この傾向は報知音の音圧レベルが高いほど明確であった。継続時間との関連は,はっきりとした傾向は得られなかった。注意状態の差についても同様である。本年度はシステム構築も重要な課題であったため,心電図の分析に未だ不充分な点があり,今後自己相関ME法との関連,変動性状といった事柄について分析を補充してゆく。平成10年度は,鳴動パターン、背景音の存在を加味した実験を行い,報知音への注意を検出するための方法を引きつづき検討してゆく。
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