建築計画学の源流となる学問は戦前から培われてきたが、現在の計画学の土台となるものは、吉武学派を中心に、戦後それも高度成長期に芽生えた。 本研究では、まず建築計画学の系譜そのものの流れを整理した上で、その考え方と領域を分類整理し、研究に使われる手法について考案を加えた。 近代以降のわが国の流れとして、欧米を模範とし、技術や知識を導入して学問体系を築いてきたことは、建築計画学の分野でも明確に指摘できることであった。これまで空間を評価する上で主観的な判断材料しか持たないことに対する反省として、科学的視点を持ち込んだのは画期的であった。だが、人間と環境との関係を模索する上で、入り組んだ技術とそれに支えられる建築の中では評価が困難な場合が多々見られることも、調査手法の整理で判明した。 ここ数年、世界各地の非西洋型ヴァーナキュラーな建築や集落を研究対象としたものに、成果を上げている研究が多く見られている。 非西洋型の環境行動研究として、研究代表者がこれまで継続して行ってきた海外での医療施設計画研究の中での、出産にまつわるものについて整理・分析を行った。日本国内で現在とられている出産の形態やその施設まわりや行動選択について、過去に医療施設以外の場所で行われてきた出産の場面を海外の研究と同軸上に並べることを本年度の研究として行った。
|