和歌山県山村振興課による調査等の既存最新資料等および今回和歌山県下の郡部(町村)に対して行ったアンケート調査等により、入り込み客層、都市・農村交流実績、農家民宿などの交流用施設、交流イベント等の観光資源の魅力化等について、和歌山県への都市からの入り込み客の動向と地元町村の取り組み状況を把握できた。京都府に関する調査と比較すると、以前からの観光形態であった温泉名所めぐり・海水浴が最も多いものの、山遊び・川遊びなどの自然とのふれあいを訪問目的とするグリーンツーリズムに当てはまる入り込み客は全体の2割弱、とりわけ、30才代以上年齢の高いほどそのしめる割合が多くなる傾向があり、農林業体験を行ってみたいという入り込み客は4割弱と非常に高い。京都府は若い世代にかなり需要があるがかえって地元との直接の交流需要はまだ低く、一方和歌山県では比較的中高年齢層の入り込み需要が多く直接の交流や体験型を希望する点に特徴があるという違いがわかった。どちらも入り込み客の圏域は近畿地方にほぼ限られるが、京都府は日帰り入り込みが多いの比べ、和歌山県はより山深く短期間の宿泊を前提とした高年齢層の入り込み需要が多いため、様々な活動に時間をかける需要がある点が評価された。他方和歌山県下の地元の取り組みはまだきまった地域への定期的な来訪を誘致するには至っておらず、和歌山県全体としては、「顧客化」しているが、町村別・取り組み地域別には「顧客化」需要に対応しておらず、京都府のほうが地域別の個性化が表現され「顧客化」の進展は進んでいることが把握された。「顧客化」は一般に中高年齢層においてその端緒が見受けられるが、和歌山県のように広域的には個性がでて「顧客化」需要があるが個別の町村では個性化が未発達で「顧客化」はまだみられない場合と京都府のように個別の地域性が強く「顧客化」の進展に地域差がある場合との違いが把握された。
|