沖縄においては住宅計画の際に亜熱帯・台風・島嶼地理といった環境的条件に加え、基地による一般宅地面積の狭少性、強力な血縁・地縁関係によるコミュニティ活動、公共輸送機関欠如によるモータリゼーション化、また米軍住宅を規範とした建設技術の継承等々他地域とは異なった独特の社会的条件を抱え住宅の形式は復帰後急激な変容を遂げてきた。 これらの想定される条件を背景に、戸建個人住宅において1階を全面開放した鉄筋コンクリート構造の「ピロティ型戸建住宅」(以下RC造ピロティ型住宅)が都市部・都市周縁部・農村部を問わず蔓延し沖縄独特の風景をつくり出している。 今年度、本研究ではこの「RC造ピロティ型住宅」を対象として全183件を抽出し、形態分析・空間分析を行った。その結果、構造方式による形態のパターン化、伝統的な平面形態を踏襲したプランのパターン化、接地空間を補完するための4種類のバルコニー空間等を調査結果として得ることができた。特に、構造方式においては100パーセントラーメン構造であり、そのグリッドパターンも7種類に類型化することができる。また、183件の内172件が伝統的社会活動に基盤を置いた和室の続き間を持つ伝統的平面を持つものであった。そのため、玄関が接道に関わらず南側に配されるプランが多くみられる。バルコニー空間においてもアクセスバルコニーや庭的バルコニー、ユ-ティリティ的バルコニー等その用途に応じて役割を果たしている。 次年度はこの対象住宅における設計プロセス、居住実態をヒアリングと現地調査によって研究を進める予定である。
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