1.地域施設関連の既往文献・論文等の資料から、わが国の地域施設計画において想定されてきた具体的利用方法・主体等について整理し、その変化および計画論の変化を整理した。 2.地域施設の利用実態の調査を振興住宅地(三田ニュータウン)・農村部(今田町)にて行い。非公共施設、特に住宅内施設の建築改造・特殊設備等のしつらえについて調査した。その結果住宅を改造使用している例はほとんどなく、地域施設として何ら特殊なしつらえがないのに関わらず、これらの施設で行われている活動の多様さおよび活発さが明らかになった。 3.農村部(今田町)において、地域施設の利用動向についてアンケート調査を行い、非公共施設に対する住民の期待および施設利用の地区的差異を明らかにした。これによって、以前行った三田ニュータウンでの調査に比べ、住戸内施設での活動が多いことが明らかとなるとともに、公共施設より住戸内施設への期待が高いことがわかった。これは同時に行った公共施設の実態調査と比較検討しても、公共施設の数・設備が貧しいことが起因しているとは必ずしも言い難く、農村部での住戸内施設への期待が高いといえると考えられる。 今後は、非公共施設に対する住民の期待および施設利用の地区的差異の解明のため、本年度調査していない地区(大都市部・都市近郊農村等)において、地域施設の利用実態の調査・地域施設の利用動向についてアンケート調査を行い、さらに地区的差異を明らかにしていく予定である。またこれらの成果をもとに、高齢者の稽古事・習い事への関心度の把握および地区的差異、高齢社会における地域施設の役割についてアンケート調査を行う予定であり、これらの研究から、長寿社会における地域施設計画のあり方の方向性を提示することが可能であると考えている。
|