GHQが実際にコミットした東京の都市空間の中から、住居系の機能をもつ空間に対象を絞って研究を行った。GHQが占領期において、接収した土地建物には、軍事的機能の他に、当然住居としての機能も求められた。占領軍関係者のための住居として東京地区で確保されたものには、占領軍側の分類に従えば(1)宿舎(apartment)、(2)接収住宅(US.House)、(3)住宅地区(dependents housing)、(4)兵舎(barrcks)の4つの種類があった。これらの所在地をこれまでに収集したGHQ側の地図資料および写真資料からかなり正確に場所を特定し、全体としての分布状況と、その分布を規定していた要因を、1)立地場所に内在する空間的固有性と、2)GHQ関連施設との機能的関連性、それに与件的条件であった3)空襲による消失地区との関連から明らかにし、都市形成史的な観点から見た史的な位置づけを行った。分布状況としては、概ね山の手地域に収まり、大規模軍事施設の立地とも関連が認められた。また、隅田川以東には、ほとんど分布が見られないことがわかり、東京の都市形成に見る地域の空間文化的文脈との関連が強く見られることが確認された。現在この調査結果をまとめている段階であり、その結果は学会誌等に投稿する予定である。また、GHQ側文書から、主に1)公有水面の埋め立て、2)露店整理、3)公営住宅の建設、の関連資料を収集し、整理を開始している。これらの内容に関しても、日本側文書との付け合わせを行った上で、考察を進め、今後学会誌等に投稿していく予定である。
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