研究の目的: 平成7-8年度の科研費による研究で、建築の日常生活安全上重要な、床・壁の色取り合わせを対象とし、一定条件の測定光を持つ接触型ハンディ色差計を用いて、黄変化シミュレーションした色標・仕上げ材の実物見本を測定、加齢黄変化視界で変色した色を明示した色事典を試作した。さらに、その測定値に基づいて段差の視認、視覚障害用床材の視認性などにつき、見分け易い色の組み合わせの例を試作している。しかし、現実の建築の中では場所により明暗があったり、照明による色彩の変化も起こり得る。本研究では、主に屋内の種々の照明条件下で、建築仕上げ材の色の測定・分析をして、色の組み合わせ例が有効であるかどうかの検討を行うことを目的とする。 本年度の研究実績: 現実の建築の中に各種仕上げ材の実物色見本を持っていき、現実の種々の条件下で平成7年度の科研費で購入した非接触型ハンディ色差計を用いて、実物色見本を計測し、さらに、これら実物色見本に、平成5年度に科研費の研究成果として得た加齢黄変レベル別黄色薄膜をそれぞれにかけ、その黄変色度を計測した。さらに、本年度購入した分光測色計(CM-508d、ミノルタ)は、太陽光や蛍光灯などの照明光の標準的な光源のデータを内蔵しているので、それらの光源による実物色見本の色の変化を黄変化シミュレーションしながら計測し、先の色差計での計測結果と比較検討を行った。
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