研究概要 |
今回の研究課題は、先のシンドラ-を中心とする研究を発展させ,リチャード・ノイトラや,彼らに続く第2世代の建築家を中心に展開されたケース・スタディ・ハウスについて,それらの空間と構成法を中心とする分析を行うことで,ロス・アンゼルス近代建築の形成及び発展過程を,特に近代的建築言語や近代的空間構成と,地域性との関係に着目し,その本質と意義を明らかにすることを目的としている. 平成9年度は,リチャード・ノイトラとケース・スタディ・ハウスを対象に,その建築の空間とその構成法についての分析を中心に行った.その内容は,(1)既往研究の整理.(2)資料収集:ノイトラについてはカリフォルニア大学ロス・アンゼルス校のノイトラ・ア-カイブに赴き,分析作品に関する原図の複写を行った.また,ケース・スタディ・ハウスについても南カリフォルニア大学で「アーツ・アンド・アーキテクチャー」誌を約20年分にわたり複写し収集した.(3)1次資料の作成:これらの資料をもとに,図面についてはCADデーターとして入力し,1次資料として完備する.(4)分析図の図の作成:先の1次資料をもとに,構成材、配置計画,平面計画,立・断面計画,そして全体のヴォリュームについての分析図を作成した。(5)考察:以上の分析図に基づく分析を整理し,ノイトラとケース・スタディ・ハウスの空間とその構成法の類型を明らかにするとともに,先に行ったシンドラ-に関する考察を加え,ロス・アンゼルス近代建築の形成と発展過程を明らかにする予定である.なお,今年度の成果については日本建築学会学術講演会に出稿する準備を進めている.
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