研究概要 |
都市組織(tissu urbain)の基本要素である土地区画(parcelle)を都市における縮小単位の「境界」として捉え、先ずそれらが織りなす土地区画の編み目(tissu parcellaire:土地区画組織)の変遷を手がかりに当地区の都市空間構造の変容を明らかにすることを中心的な作業として試みた。一次資料として、主にArchives Nationales,Bibliotheque Nationale,Biblioteque Historique de la Ville de Paris,Mairie de Parisにおいて収集した土地区画を記す地籍図を基に、各時代ごと(17世紀末〜現在)の土地区画組織(tissu parcellaire)を同一スケール(1/2000)で復元した。その結果、8つの時代断面図が当地区に関して作成された。これは、当地区に南接するレ・アール地区に関する研究(フランソンワ-ゾ・ブドン、アンドレ・シャストル、エレ-ヌ・タジ・アモンジャン・レコンによる共同研究(Ststeme de l'architecture-Le Quartiier des Halles a Paris,1977)において用いられた一次資料に対応していることが明らかになった他、地区的にも隣接しているため、今回復元された土地区画図と対象比較する事で、パリ市右岸の北方への都市的展開が空間的に連続して把握可能となった。次に、そうした都市的な枠組みの変遷に照らし、当地区に存在したシャルル5世とルイ13世の城壁解体に伴う空間構造の変容、ならびに主要な変化を抽出し、その詳細をフィュ・デュ・ケ-ルへの変容、グラン・ブルバ-ルにおける空間の意味の変容という形で考察することが可能となった。さらに、こうした都市化の変遷を通じて、自己差異化しながら生成変化する都市化の課程の一端が明らかにされた。
|