研究概要 |
本研究実施にあたり,初年度は文献資料及び一次資料の収集活動を行った。明治期の40年間に,日本全土に敷設された鉄道施設すべてを把握することは不可能なため,調査研究の出発点として鉄道駅舎建設史の中で大きな到達点の一つに位置づけられる東京駅建設の前後にその時代を区切り,同時に東京駅建設と深く関係する東京市街高架線の建設区域に調査対象を限定し,資料収集を行った。現状で収集しえた文献は以下のとおりである。 (鉄道史一般に関わる物) 日本国有鉄道総裁室修史課『工部省記録 鉄道之部』,鉄道省『日本鉄道史』,日本国有鉄道『日本国有鉄道百年史』,日本国有鉄道『鉄道技術発達史』,日本鉄道建設業協会『日本鉄道請負業史』他 (東京市街高架線に関わる物) 東京第一工事局『新永間建築事務所 初代工事写真集』,鉄道省東京改良事務所『市街高架線東京萬世橋間建設紀要』,鉄道省『東京市街高架線東京上野間建設概要』,鉄道省『御茶の水両国間高架線建設概要』,加藤田敬太『有楽町駅鉄道工事写真帳』(私家版)他 (その他の一次資料,同時代の雑誌) 鉄道省『鉄道省文書』,帝国鉄道協会『帝国鉄道協会会報』,鉄道雑誌社『鉄道』他 次年度は引き続き資料収集活動を行いつつ,これら文献資料を分析し,明治20年代から計画される東京市街高架鉄道建設の実体と,それに関わる営繕組織の変遷を明らかにする。また東京駅をはじめ市街高架鉄道に付属する,駅舎の実体を解明し同時代の停車場計画の思想,鉄道敷設の考え方をあきらかにする。
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