固・液界面の原子レベルの構造を解析することは、物理学における大きなテーマであった。本研究では、新たに開発した超高温加熱ホルダーを用い、透過電子顕微鏡内で、固・液界面の原子構造と、結晶成長におけるその挙動を観察する事を目的とした。対象物質としては、高真空中でも液層が安定に存在すると考えられる、酸化物系セラミックスを用いた。アルミナにおいては、直径100nm程度の液滴を形成することに成功し、またそれを起点にアルミナウィスカ-の成長を観察した。ウィスカ-の成長過程においては、原子的にフラットな固・液界面を形成し、モノレイヤー成長が観察された。固・液界面において核生成率、界面拡散係数を直接求めることに成功した。ムライトにおいては、非晶質、及び結晶質母相からの液相の形成を確認した。それぞれ異なった、分解過程を経て、シリカリッチな液相を形成した、結晶質ムライトにおいては、固・液界面を原子分解能で観察することに成功した。界面構造は、アルミナと異なり原子的にラフな界面を形成した。現在相変態のメカニズムの解明を試みている。 また、本功究手法はセラミックスのみへの適用に限らず、金属または、半導体と金属の固・液界面への応用を発展させることに成功し、金属アルミニウムの融解凝固過程、シリコン・アルミニウムの固・液界両の原子構造の観察にも成功しており、様々な物質への発展の可能性が見出すことに成功した。 次年度は、得られたデータより定量的な結果の導出手法を追求し、既知の理論の検証を試みる。
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