金属アルコキシドの加水分解・重合挙動の解析 ケイ素アルコキシドを適当な溶媒および触媒の存在下で加水分解し、種々の水溶性高分子や界面活性在を共存させた場合に起こる、重合体生成挙動と生じた重合体の構造を、電子密度の高い酸化物重合体のみの情報を抽出できる小角X線散乱装置を用いて、時間分割測定法によって解析した。水素結合性の弱い水溶性高分子の共存下では、重合体の架橋密度を反映するPorod領域の傾きは-1.5から-2.0程度となって、高分子を含まない参照系との差は比較的小さかった。これに対して。水素結合性の強い水溶性高分子や非イオン性界面活性剤の共存下では、Porod領域の傾きは最大でも-1.5となり、三次元的な架橋密度の非常に低い構造を持つことが明らかになった。 熟成過程におけるメゾ細孔形成過程 上述の高分子共存反応系のうち、ゾル-ゲル転移時に相分離を同時に誘起することのできる系を選んで、マイクロメートル領域の共連続ドメイン(ゲル相および溶媒相)を持つゲルを作製し、さらに密閉条件下で種々のpHおよび温度で熟成することにより、乾燥・熱処理後に形成されるメゾ細孔構造を解析した。小角X線散乱測定によれば、ほとんどのメゾ細孔領域の構造変化は湿潤状態で完了しており、乾燥・熱処理による構造変化の寄与は少ないことが明らかになった。さらに熟成温度を30℃まで上げることにより、メゾ細孔がマクロ細孔の領域まで粗大化し、ついには共連続構造のゲル領域が空洞化する現象が確認された。
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