研究概要 |
ユーロピウム付活硫化カルシウム(CaS:Eu)薄膜の捕獲準位に関する知見を得るために、過渡熱蛍光(TTL)測定装置の作製を行った。TTL測定装置は、交付金により購入した試料冷却装置(液体窒素クライオスタット)及び、既存のデジタルオシロスコープ、水銀ランプ、光電子増倍管、パーソナルコンピュータにより構成された。作製したTTL測定装置の性能評価は,銅付活硫化亜鉛(ZnS:Cu)青色蛍光体粉末及びCaS:Eu赤色蛍光体粉末を用いて行った。得られたデータを過去に報告されている捕獲準位と比較する事により、作製したTTL測定装置の測定精度が±0.1eV以下であることを確認した。次に、交流薄膜エレクトロルミネセンス素子に台形波パルス電圧を印加した時の発行輝度及び素子を流れる電流の過渡特性を測定するシステムを整え、当初予定の性能を有していることを確認した。当初の研究計画では、次段階としてCaS:Eu薄膜EL素子を作製し、TTL曲線、発行輝度及び伝導電流の過渡特性を測定する予定であったが、研究計画に遅延を生じたために、現在も研究を継続中である。結果は得られ次第公表する予定である。また、当初の研究目的に沿ってはいないが、エレクトロルミネセンス用ZnS:Cu青色蛍光体粉末のTTL測定より、高輝度の青色エレクトロルミネセンスを示すZnS:Cu粉末において、0.25±0.1eV及び0.45±0.1eV付近にトラップが多く観察されることを見出した。
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