研究概要 |
1.結晶構造の次元性と二重交換物性との関係 (1)La_<n-nx>Sr_<1+nx>Mn_nO_<3n+1>(x=0.4;n=1,2,∞)の合成条件の確立 標記化学式においてn=1の化合物は二次元、n=∞の化合物は三次元、n=2の化合物は両者の中間である凝二次元構造を持つ。これらの三つの化合物を固相反応法で合成した。仮焼および焼成時の雰囲気、温度を最適化することにより、同程度の平均価数(約+3.4)のMnイオンを含み、かつ結晶構造の異なる化合物を合成することができた。 (2)La_<n-nx>Sr_<1+nx>Mn_nO_<3n+1>(x=0.4;n=1,2,∞)の二重交換物性 n=1、およびn=∞の化合物は室温以下でそれぞれ常磁性半導体、強磁性金属の物性を示した。n=2の化合物は温度の低下に伴い127Kで常磁性半導体から強磁性金属への転移を示した。またn=∞の化合物および転移温度以下のn=2の化合物は-10から-30%もの大きな磁気抵抗を示した。とくに後者は転移温度付近で最大-51%もの巨大な磁気抵抗を示した。 2.化学的圧力印加に伴う二重交換物性の変化 (1)La_<1.4>Sr_<1.6-y>Ca_yMn_2O_7の合成 1の化学式でx=0.3,n=2とした化合物La_<1.4>Sr_<1.6>Mn_2O_7においてSrの一部をCaで置換した化合物を合成した。固溶限界はy=0.8であった。また格子定数は置換量の増加に伴い減少し、結晶格子に化学的な圧力が印加された化合物を合成することができた。 (2)La_<1.4>Sr_<1.6-y>Ca_yMn_2O_7の二重交換物性 Caを置換しないy=0の試料は103K付近で常磁性半導体から強磁性金属へと転移するが、この転移温度はCa置換量の増加に伴い低下した。いずれの試料も転移温度付近で巨大な磁気抵抗が観測されたがCa置換量の増加に伴い、その大きさは減少する傾向を示した。
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