研究概要 |
まず,スパッタ法を用いて石英基板上にアモルファスまたはナノ結晶単相Cr-高融点金属(Nb,Mo,Ta)合金を作製し、それぞれ耐高温硫化性と耐高温酸化性を評価した.これら合金はすべて高融点金属の耐高温硫化性に近い優れた耐硫化性を有することが判明した.ただし,これらCr-高融点金属合金の耐硫化性はAl-高融点金属合金よりも低い.生成するスケールは2層構造を持ち,外層はクロム硫化物,内層は高融点金属の硫化物からなる.Cr-NbおよびCr-Ta合金上のスケールは内層,外層とも金属イオンの外方拡散によって成長するのに対し,Cr-Mo合金では外層はクロムイオンの外方拡散,内層は硫黄の内方拡散によって成長する.このため,内層と外層の界面にはボイドが生成することがわかった.Cr-Mo合金の耐高温酸化性は生成するMoO_3が揮発性のため極めて低い.しかし.Cr-NbおよびCr-Ta合金では,クロム量が多い場合にはこれら合金の高温硫化速度にほぼ匹敵する高温酸化速度を示し,高い耐酸化性も有する.つぎに硫黄の内方拡散で成長するスケールを形成するモリブデンと金属イオンの外方拡散で成長するスケールを形成するニオブを含むAl-Nb-Mo三元合金を作製し,その高温腐食性を評価した.硫黄と酸素が共存する環境では1000°Cまでの各温度で初期に放物線則に従う重量増加を示した後,重量変化が検出できなくなり,腐食の進行が見かけ上停止するほどの高い耐高温腐食性を示すことがわかった.外層にはアルミナスケールが形成し,内層にはニオブおよびモリブデンの硫化物が形成しており,共に保護性の高い酸化物外層,硫化物内層の形成が優れた耐高温腐食性の原因となっている.
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