等原子比組成より少しNi過剰のTi-Ni合金を700K付近の温度で拘束時効すると、Ti_3Ni_4相が配向析出し、二方向形状記憶効果を示す。この形状記憶合金は、自発的な形状変化と小さな変態ヒステリシスをと優れた耐疲労特性を合わせもっており、マイクロアクチュエータなどへの応用が期待されている。本研究では、一軸引張試験片を用いて二方向形状記憶効果に及ぼす負荷の影響を調べた。得られた結果を要約すると以下の通りである。 (1) B2→R変態開始温度は時効の際の応力が増加するに従い上昇する。 (2) 引張応力下で時効した試料はB2→R変態にともない収縮し、その収縮量は試験荷重が大きくなるにつれ減少する。これらの試料は試験荷重が50MPaから100MPaのとき最も効率よく仕事をする。 (3) 引張応力下で時効処理した試料は、R相状態において、双晶変形にともなう擬弾性を示す。また、この試料は応力誘起R→B2変態を示す。
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