研究概要 |
本研究費により,マスフローコントローラを用いた雰囲気ガスの安定供給装置を作製した。また,既存のレーザー変位計にパーソナルコンピュータを接続し,長時間の自動測定が可能となった。腐食実験は,試料にNiを用い,付着塩に40mol%KCl-40mol%NaCl-20mol%Na_2SO_4混合塩を用いて,1%HCl-50%O_2-49%N_2雰囲気および50%O_2-50%N_2雰囲気で行った。また,両雰囲気について,O_2含有量を0,10および30%に減らした雰囲気についても実験を行った。付着塩の融点は約793Kと見積もられたため,測定温度は773Kから923K,実験時間は86.4ks以内の範囲とした。得られた結果は以下の通りである。 Niの腐食量は,HClを含まない雰囲気において付着塩が無い場合は少ないが,塩が付着すると多くなる。HClを含む雰囲気では,付着塩が無い場合でもHClを含まない雰囲気より腐食量は多い。しかし,塩が付着すると著しく腐食量が多くなる。腐食速度の酸素分圧依存性は,10%以上の酸素含有量では大きな違いが無かったが,0%O_2では小さくなった。腐食速度の大きい場合,試料上に生成するスケールは,断面観察および成分分析より,外層部は緻密なNiO,内層部は粒子状のNiOおよび付着塩成分の2層からなる形態をとった。 この現象は,雰囲気中のHClおよび新たに生成するCl_2およびH_2Oが,塩中のO^<2->イオンの濃度を増加させ,付着塩を介したNiOの塩基性溶解反応を促進するために起こると考えた。
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