研究概要 |
本研究では,主に,疑似3元系亜鉛めっきに関する研究を行い,合金めっきの電析と電析物の耐食性評価を行った。2元系合金めっきにZn-Cr合金をとりあげ,金属添加剤としてMn,Moなど2元系母合金に含まれていない金属元素を用いることにより,3元系合金めっきを行った。さらに,合金めっきの電析メカニズム,および,合金めっき特性,耐食性と添加金属元素,電析条件の関係について考察した。また,研究成果の一部をH10秋北九州で開催された第49回国際電気化学会にて発表した。 添加剤として、Znの還元に及ぼすPEGの分極作用がすでに知られているが、カソード分極により同様な効果が認められた。一方、Na_3Cit(クエン酸ナトリウム)を加える場合、減極剤として挙動することが判明した。合金めっき組成は高電流密度の領域において電析物中のCrおよびMn含有率は高くなったが、同時に水素発生が活発になるため、電流効率は5%以下に低下した。また、電析電位は電流密度が高くなると共に低くなった。電析物についてのX線回折分析の結果よりほぼZnの回折ピークのみが見られた。CrとMnはZnの固溶相中に含まれるが、CrとMnの含有量が高くなる場合、金属間化合物(CrMnあるいはCrMn_3)を生成すると考えられる。電折中のインピーダンス測定では電解液にPEGを添加することにより、電荷移動抵抗(高周波数領域の容量性半円)の増加が認められた。さらに、低周波数の領域では誘導性挙動が現れた。 第3元素にMoを添加した場合,Moの析出によりCr析出量が増加した.さらに,3%NaCl水溶液中において,Moの含有量が増加するほど自然浸せき電位及び孔食電位が貴な電位に移行し,耐食性が向上することが判明した.
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