Pbの持つ有毒性のためにPbを含まない新しいはんだ材料の創製が望まれている。最近ではAg-Sn合金を初めとする様々な合金系ではんだ材料の試作が行われているが、必ずしもその融点が従来のはんだに比べて低下していないことが問題となっている。 融点を降下させるために一般的に用いられる方法は、その組成の最適化と第三元素の添加が挙げられる。 それとは全く異なり、同じ合金系・同じ組成でも急冷凝固やMAなどにより非平衡状態にすることにより、平衡状態の融点よりもずっと低温で融解することがある。また平衡状態にある合金でも、その結晶粒のサイズを原子数〜数十個のオーダーに微細にすることにより、融点が降下することが知られている。 本研究では非晶質や準安定相、ナノ結晶など新しい合金作製に有効であるメカニカルアロイング法(MA)や急冷凝固法を用いて、鉛レスはんだ材料の創製を試みた。 合金の準安定化については急冷凝固によりAu-Sn、In-Bi系について準安定相の形成させ、融点が50K程度降下することが確認された。 後者の合金の超微細化・ナノ結晶化についてはAl-Bi、Al-In系でMAすることにより、結晶粒径を20nm程度まで微細化し、その結果融点が10K程度降下することが明らかになった。 今後はこれらの粉末材料をフラックスと混合し、基材との塗れ性を検討するとともに、新しい合金系においても本プロセスを適用し、新はんだ材料の創製を試みる。
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