導電体を介した反応(EMR)制御によるチタンの新しい製造プロセスの確立を目的とした基礎研究を行い、チタン粉末の効果的な合成方法を開発した。具体的には、還元力のある媒体塩を介したチタン塩化物のマグネシウム熱還元実験を行い、Dy^<2+>イオンを含む1073Kの溶融塩にTiCl_4を吹き込み、反応浴や吹き込み電極の酸化還元電位をMg/Mg^<2+>参照極に対し連続的に計測しながらチタン粉末を合成した。反応媒体塩を効果的に利用することにより、還元剤のマグネシウムと物理的な接触がなくても反応浴全体で導電体を介した反応(EMR)によりチタン粉末を合成できること実験的に示し、反応経路を等温化学ポテンシャル図を用いて考察した。さらに、等温化学ポテンシャル図からチタンの還元に伴って生成するDy^<3+>はマグネシウムにより還元力のあるDy^<2+>に再生できることを明らかにし、Dy^<2+>イオンを含む反応媒体塩介した還元反応の総括反応は、見かけ上クロール法と同一となることを示した。また、電気化学的手法を用いて反応メカニズムを解析した結果、反応メカニズムに関しては、従来のマグネシウム還元材による還元プロセスと本質的に異なることが明らかとなった。また、金属熱還元反応おけるイオンと電子の動きの重要性を示し、電子の移動経路が溶融塩である反応は、チタン粉末の合成に適していることも明らかにした。
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