本年度は、連続相を流通させることが可能なクロスフロー型のマイクロチャネル基板を設計・作製した。クロスフロー型マイクロチャネル基板には、孔が2つあけられており、孔の間には連続相が流れるための流路が設けられている。流路の壁面には、マイクロチャネルが作製されており、そこから分散相が送り出されて液滴が生成する。従って、一方の孔から供給された連続相は、もう一方の孔からエマルションとして回収される。一連のプロセスは顕微ビデオシステムによって、観察・制御される。今回は、分散相としてトリオレイン、連続相としてラウリル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液を用い、O/Wエマルションを作製した。 このクロスフロー型マイクロチャネル基板を用いて単分散エマルションの連続生産を行った。マイクロチャネルの構造が異なる基板を用いることによって、生成するエマルションの滴径が11〜52μmの範囲で変化した。いずれの場合も、液滴径分布はシャープであり、幾何標準偏差は1.03と単分散性を示す値となった。連続相流量が液滴径に及ぼす影響についても検討したが、20μm前後の液滴を生成する基板を用いた場合は、1.4x10^<-2>〜2.4ml/minと流量を100倍以上に変化させても、液滴径に大きな変化はなかった。 界面活性剤として用いたSDSの濃度が液滴生成圧力に及ぼす影響について検討を行ったところ、SDS濃度によって変化する油水間の界面張力に比例して液滴生成圧力が変化することが分かった。また、SDS濃度や操作圧力は、液滴径に影響を及ぼさず、単分散エマルションが広い範囲で生成することが分かった。
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