本年度は、シリカ球形粒子付カンチレバ-を原子間力顕微鏡に用いることにより、シリカ粒子-雲母板間およびシリカ粒子-シリカ粒子間の相互作用力を有機溶媒中で直接測定することに成功した。また、ER効果は、粒子間の引力により左右されると考えられ、付着力を種々の条件で測定した。その結果、以下のことが明らかとなった。 <アルコール系> 水溶性溶媒であるアルコール中では、付着力は、アルコールへの水の飽和溶解度に対する比がある一定の値の時に極めて大きなピークを持つ。このピークでの付着力は極めて大きいため、ファンデルワールス引力では説明できないが、アルコール分子の疎水基のサイズが大きいほど大きくなることから、相分離による架橋力の存在が示唆された。 <疎水溶媒系> モレキュラシーブにより乾燥させたシクロヘキサン中では、付着力はほとんど現れないが、水分を含んだシクロヘキサン中では、極めて大きな付着力を観測した。この付着力は、非乾燥空気中で測定したものとオーダー的に近く、水分子の架橋により大きな付着力となったと考えられる。 <表面状態> 付着力は、AFM探針をそのまま用いた場合、粒径4μmのシリカ粒子を用いた場合、9μmの場合ともオーダー的には近い値となった。これはAFMによる表面観察の結果より、粒子表面の微細な凹凸が探針の曲率半径とオーダー的に近い(〜100nm)ことによると考えられる。これは、付着力が巨視的な粒径よりは実際に接している部分の形状に大きく依存することを示している。
|