研究概要 |
ポリエチレンを主体としたコポリマーに関して、その製造条件やプロセス制御の上で非常に重要である、コモノマーの溶解度と拡散係数を以下の系について測定した。 Ethylene-EHR95&98,1-Butene-EBR80,1-Butene-HDPE,1-Hexene-EHR95&98,1-Hexene-HDPE,1-Octene-EOR90,isopentane-EHR95&98,Hexane-EBR80&90,Hexane-EOR90,Hexane-HDPE(ここでEHR:Ethylene-1-Hexene Rubber,EBR:Ethylene-1-Butene Rubber,HDPE:Highdensity po1yethylene,EOR:ethylene-1-Octene Rubber,数字はエチレン含有率[mol%]を示す。) 溶融状態における溶解度については、本研究で用いたポリマーでは温度・圧力と溶質が同じであればどのポリマーにおいても全て同じ溶解度を示した。この事からコモノマー含量が20mol%程度の範囲では溶質の溶解度には影響を及ぼさないことが明らかになった。 溶融状態における拡散係数に関しては、溶解度と同様に温度・圧力と溶質さえ同じであればポリマーによらずほぼ同程度の拡散係数を示した。ただし、HDPEのみ約40%程度低い値となった。これは、用いたHDPEのみ分子量が他と比較して高く、溶融粘度の違いが影響したものと思われる。 また、融点以下の温度では各コポリマーの結晶性の違いを反映し、溶解度は各コポリマーにより大きく異なる結果が得られた。そこで本研究では溶融状態で得られた溶解度を用いて融点以下ので溶解度を推算し、この値を用いて結晶化度を算出した。この結果、結晶性の高いHDPEでは溶質の溶解により結晶化度が上昇し、結晶性の低い他のポリマーでは溶質の溶解により結晶化度が低下していることが明らかになった。
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