研究概要 |
アニオン性のルテニウムカルボニル錯体のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩をアルミナに担持して調整した触媒はいずれもジベンゾチオフェン(DBT)の水素化脱硫反応(HDS)において、活性を示した。その中で、アニオン性のルテニウムカルボニル錯体のカチオンをセシウムにした場合に触媒活性が著しく高いことを見いだした。ルテニウムカルボニル-セシウム系触媒の中で最も活性の高い触媒であるRu_3-(CO)_<12>-6C_SOH/γ-A1_2O_3を用いて、_<35>S-DBTの水素化脱硫反応における硫黄の挙動を解析した。反応後に放出される_<35>S-H_2Sの放射能量と放出速度より作動状態のルテニウム触媒上の移動可能な硫黄量及びその移動性を評価した。その結果、アルカリ金属の添加は触媒上の移動可能な硫黄量を増加させたが、触媒からの_<35>S-H_2の放出速度を低下させることがわかった。また、アルカリ金属の添加は水素高圧下でさえRuS_2の生成を安定化し、水素化脱硫速度を向上させることが示唆された。次にRh_6(CO)_<16>と水酸化セシウムとの反応によりアニオン性のロジウム錯体を合成し、これをアルミナに担持して担持量の異なるRh/A1_2O_3を調整した。Rh/A1_2O_3はいずれもDBTのHDSに活性を示した。Rh担持量0.25wt%のRh/A1_2O_3触媒と現在、工業的に用いられているCoMo/A1_2O_3触媒(CoO:5wt%,MoO_3:16wt%)の金属当たりの脱硫反応速度を比較した。Rh/A1_2O_3触媒の金属当たりの脱硫反応速度はCoMo/A1_2O_3触媒の約10倍であり、Rh原子を担体に高分散に担持させることができればより高活性な脱硫触媒に成り得る可能性が示唆された。そこでRh担持量の影響について検討した結果、反応温度300℃においてRhの担持量の増加に伴い、転化率はほぼ直線的に52%まで向上したが担持量1.0wt%以上において転化率の大幅な向上はみられなかった。このことにより、Rhは1.0wt%以上ではA1_2O_3に均一に分散しないことがわかった。
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