研究概要 |
本研究では,素過程に単純な機構を仮定したモデルを用いて,周期的変動操作による定常最適条件の結果を超える反応成績改善を検討した。また周期的変動操作による反応成績への影響をモデル計算,反応実験の両面から調査し,定常最適条件の結果を超えるための条件について議論した。 モデル計算では,アルミナ上でのC_3H_8によるNOの選択的還元反応において提案されている機構をモデルとし,素過程には一般的なLangmuir-Hinshe1wood機構を仮定した。このモデルは,上記の定常最適条件の結果を超えた例に比べて,反応の構造は複雑であるが,各素過程は単純化・一般化されている。 結果は変動周期に対して,NOに相当する反応物の消費速度,目的生成物の生成速度が極大を持ち,その値は定常最適条件の結果からそれぞれ20%,70%上回っていた。また,この最大の改善を与える周期での各吸着種の時間変化を調べたところ,その組成は定常操作下では取り得ない範囲を推移していた。 一方,実験ではアルミナ触媒上でのNO-C_3H_8-O_2反応において周期的変動操作を行った。反応ガスは,NOは定常的に供給し,C_3H_8とO_2は対称的に周期的変動させて供給した。結果は,NO転化率,N_2収率どちらとも定常最適条件の結果を超えなかった。これは温度や濃度など,反応条件の設定が適切でなかったことが原因と考えられる。 以上の結果から,周期的変動操作により定常最適条件の結果を超えるための必要条件として以下の条件が推察される。 1.周期的変動操作下では反応に関与する変数が定常操作下でとり得る範囲を逸脱すること. 2.操作変数の周期的変動範囲内に評価関数が極大であるような定常最適条件が存在すること.
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