研究概要 |
先に光照射下のアモルファスシリカ上でプロピレンがエポキシ化されることを見いだし,マグネシウムを添加することでその活性・選択性が向上することを報告している。これにつづき本研究では,近年注目されているメソポーラスシリカ(FSM-16)の光酸化活性を検討するとともに,添加金属の種類をアルカリ土類金属に広げて検討した。 アモルファスシリカにアルカリ土類金属を微添加したところ,添加金属の塩基性が高いほどエポキシドの収率は高かった。部分酸化物の多くが室温では触媒に吸着してしまい,回収に加熱が必要であった。カルシウムを添加した場合にエポキシド選択率はもっとも高かった。 メソポーラスシリカ(FSM-16)を調製し,プロピレンの光酸化反応に供したところ,アモルファスシリカの10倍程度の高活性を示した。エポキシドも4倍の収率で得られたが,一酸化炭素,二酸化炭素の割合が増えてエポキシド選択率は逆に下がってしまった。これは,FSM-16が酸化反応を著しく促進するため,部分酸化生成物であるエポキシドは生成しにくくなったと解釈できた。ただし,アモルファスシリカに比べ,FSM-16では生成したエポキシドが加熱なしに回収されたことは注目に値する。 FSM-16にも同様にアルカリ土類金属を微添加した場合には,メソポーラスシリカに特有の構造は崩壊してしまい,活性はアモルファスシリカに似たものになってしまった。 これらのことより,FSM-16およびアモルファスシリカを用い,添加金属及び反応条件を最適化することで,より高活性高選択的な光エポキシ化触媒の開発が期待できることがわかった。
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