本研究ではメソポーラスシリカ及び金属担持シリカによる酸素分子によるプロピレンの光エポキシ化反応を検討した。メソポーラスシリカは規則性を持ったメソポアを有し、高表面積であるため、触媒担体として注目を集めているが、我々は過去に、メソポーラスシリカが光メタセシス反応に高い活性を示すことを見いだしている。本研究で、メソポーラスシリカFSM-16はゾルゲル法で調製したアモルファスシリカよりも表題の反応において高転化率および高いエポキシド収量を示すことが見いだされた。生成物分布の違いから、メソポーラスシリカは通常のシリカとは異なる新しいタイプの光触媒サイトを持つことが示された。ただし、同じ転化率で比較した場合、メソポーラスシリカの場合二酸化炭素への完全酸化が多く進行しており、エポキシ化選択性はむしろアモルファスシリカの方が優れており、完全酸化まで進むような高い酸化活性はむしろエポキシ化には不利であることが示唆された。以上の成果は学術雑誌に掲載された。 そこでアモルファスシリカに様々な金属酸化物を少量担持した触媒を用いて、光エポキシ化活性を検討した。調製可能なほぼすべての元素を調べた結果、既に報告したマグネシウムの他に、いくつかの元素の担持がより有効であることが見いだされた。マグネシウムを含むアルカリ土類金属はアルカリ金属を担持した場合高いエポキシ化生成物選択性を示したが活性は比較的低かった。貴金属(白金)は光酸化活性は高いが、完全酸化まで進行してしまった。チタン、亜鉛などが高転化率、高選択性を示すことが見いだされた。また、エポキシ化選択性と各元素の電気陰性度と相関関係があることを示すことが出来た。この結果は、平成10年度触媒研究発表会(触媒学会)にて発表した。
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